おわぁ、寝てるだけです 本館探さないでくなさい/ブログ主 鈴木薫の他に間借人の文章「tatarskiyの部屋」シリーズも掲載しています

by kaoruSZ

東洋永遠平和の敵

 30日の1時の回、『妻よ薔薇のやうに』見たが、疲れていて駄目。傑作なのか? わからない……。勤め先へとんぼ返りし、面倒な事案どうにか片づけ、7時の回に再び来FC。席を確保した直後満席に。今度は覚醒phase。『上海の月』、国策映画の断片(半分以下だとのこと)で、タイトルも何もなしに途中からはじまる。どんな映画でも、物語に入り込んでいない冒頭では特に形式ばかりに目が行くことになるが、頭が欠けているのでたまたまはじまりになった、大川平八郎が室内から出て車に乗り込み、走り出すと待ち伏せていた車が尾行して上海市内を走行するあたりも、見事なカメラワークに目を奪われる。中国人の女スパイが山田五十鈴とはチラシ見るまで気づかず。最後に映像に重ねてお題目がぞろぞろ出るが、それが、テロを憎む、テロは敵だとそればっかり。なんてタイムリー! 日本軍が列車顛覆させてもテロじゃないが、抗日ゲリラはテロ、真珠湾攻撃はもちろんテロじゃない。テロは東洋永遠平和の敵という一行もあって、もう誰も覚えていなかろうが、この「東洋永遠の平和」とは大東亜戦争のスローガンの一つ(平和のためと称さない戦争はない)、なんで私がそんなことを知っているかといえば母に聞かされたからで、べつに母は戦時中の体験を伝えようとしたのではなく、女学校の朝礼か何かで教師が毎度「東洋永遠の平和の基[もとい]!」と大声で叫ぶ、その発音が「もとえ!」となまっていたのが、後年繰り返しわが子に話さずにはいられないほどおかしかったというだけだ。

『秀子の車掌さん』、これが『上海の月』と同じ年('41)なのだから驚く。成瀬は傑作が多過ぎるため、そんなにいい出来には見えない。最後のバスの後ろ姿、本物の馬を追い立てて芝居の馬が駆けてゆく、『旅役者』幕切れの二頭の後ろ姿を思い出させる。笑わせるけれど、カタストロフはすでに起きてしまっているのだ。
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by kaoruSZ | 2005-10-04 00:16 | ナルセな日々 | Comments(0)