おわぁ、寝てるだけです 本館探さないでくなさい/ブログ主 鈴木薫の他に間借人の文章「tatarskiyの部屋」シリーズも掲載しています

by kaoruSZ

月島から築地へ(ピクニック その1)

  同行の I さんにも森としか教えなかった目的地は目黒の自然教育園で、急いで書いておくと、今ならまだ〈谷〉を埋める繊細な紅葉が見られる。イロハモミジという種類らしい。あとで小石川植物園のサイトを見たら紅葉が散った裸木の絵を載せていたけれど、そっちで大風が吹いたわけではなくてたぶん種類にもよるのだ。うちには両手を延ばせば届くほどのところにかたまって楓が三本もあるのだが、カエデ1は残らず葉を落しているのに、カエデ2は黄色と茶(ところどころなんとか赤)の葉をまだ残しており、カエデ3は緑のまま、黒ずんだ汚い赤になりかけている(春になって芽が出るときも、1が最初で2、3の順。1と2はふだんは折り重なって一つの木に見えるが、芽吹くときと散るときは別の木とはっきりわかる。3は葉の切れが細く明らかに別種。カエデは直射日光を受けると糖ができて紅葉するのだそうで、なにしろ庭というよりただの通路で、朝日しかあたらない状態では色の悪さも無理からぬのか)。13日までには外での飲食に向かないほど寒くなるかと思い、まずは月島で待ち合わせることにする。

  夏以来、下見に行った先週の土曜日まで、勝鬨橋の向うへ渡ることはあっても月島の町なかまでは行っていなかった。待ち合せ場所を探して川に近い6番出口を出ると、夏に建築中だった高層“マンション”がまさに完成して、工事関係者が撤収を開始したくらいの感じ。一階でセブンイレブンが店を開いており、その手前に木が植わっている。木の周囲にドーナツ状にベンチがめぐらしてあるので、ここで待ち合わせようと決める。右手には古い二階家の列が巨大な“マンション”と向かい合っており、一軒不恰好な「セザール・マンション」が突き出して目障りだが、それさえも前に立つのに較べれば低層の可愛いものだ。万一雨が降ったらセブンイレブンに入ればいいので、「シラカシ」と記された木の下で待ち合せることに決める。高層“マンション”、細い通り抜けを設けたり、和船を職人に作らせて屋根だけある戸外に置いてみたり、しかもそれに路地の記憶だとかなんだとか、能書きを並べた説明板をつけて象徴的なモニュメントに仕立てるのに熱心だ。いつの日か、設計者の意図と離れたところで、美しく古びることができるだろうか。

 当日は、ぽかぽかしていた土曜日とうって変わった寒さに、地上へ出るやセブンイレブンに入ってしまったが、先に着いていた I さんは贋路地などをすでに見てまわっていた。住吉神社、小橋、昔の船着場、公園、渡し舟の石碑等、案内する。島の突端が舳先のように大川を分けているところまで行くと、人口渚を歩いていたシラサギが、飛び上がって人口渚と川の本来の深さを隔てる柵に、カモメたちに混じってとまる。中に一羽、オオミズナギドリではまさかあるまいが、灰色でよれよれな感じではあるものの大型の見なれぬ水鳥が一羽いる。日なたは暖かく、打ち寄せる波や水の上に開けた空を I さんも気に入ってくれた様子。本家、元祖と並ぶ佃煮屋の前を通って戻り、佃大橋を渡って右岸の「隅田川テラス」に至る。

2006.4.5追記
 建築が御専門の玉井さんがこの「再生」された「路地」のことを書いておられるのでトラックバックする。
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by kaoruSZ | 2005-12-15 23:47 | 日々 | Comments(0)