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おわぁ、寝てるだけです 本館探さないでくなさい/ブログ主 鈴木薫の他に間借人の文章「tatarskiyの部屋」シリーズも掲載しています

by kaoruSZ

若冲、蕭白、やおい、あおい

 カルチャー・レヴューまだ更新されていないようだが、原稿落してはいない(ギリギリだったけど)。黒猫さんから感想来たので、一応形になっているとわかってほっとする(このところ、一晩寝かして読み返すひまなく手離しているため謙虚)。

 土曜日、朝イチで東京都美術館へバーク・コレクション見に行く。若冲はもちろんだがほかも面白い。無名の作者による麦畑の屏風――モダン! 洛外洛中図なんて派手で置けないけど、これなら置きたい(どこにだ)――とか、源氏物語絵巻のハンディ版(ぬりえにしたい線描)とか、酒井抱一の弟子のミニチュア絵巻とか。渋谷シネマヴェーラでマキノ雅弘の次郎長シリーズ2本見る。下の階に入っている新しいユーロスペースと共通会員券になっていたので、早速入会。2本立ての合間に(というより、入れ替えと思い込んでいたので出てしまったが、手元にはちゃんと半券ではなく次の回のチケットが残っていた)、東急本店前のブック・ファーストにはじめて入り、河出文庫の棚で松浦理英子の『葬儀の日』を探すが(持っているけど出てくるわけがないので、「乾く夏」の内容を手っ取り早く確かめようと思った)見つからず、水間碧『隠喩としての少年愛』があったので買う。以前、女性学年報に、やおい論(とは彼女は呼ばないのだが)を本名(たぶん)で書いていた在野研究者の別名による総決算本だが、ダメダメ。精神分析と言って典拠にするのがユングで、要するに形而上学、現実の男性同性愛とは関係ないというのは、「私の王国は地上のものではない」という宣言だ。ポルノの否定はフロイトからユングへの後退をなぞるかのよう。24年組はよくてもSMはダメな人。Mさんのいう旧世代のフェミニストとも通じるか。小児性欲理論だけは捨てないでくれとフロイトはユングに頼んだんだよね。女性学年報のときはここまでユングに肩入れしている印象はなかったのだが。原型の導入による個体史の(子供時代の)過小評価。少年愛嗜好は女性に先天的にそなわっているもので、それが出るか出ないかは環境によるということになってしまうのだ。ひとことで言って彼女の主張は、女性の少年愛嗜好(と彼女は呼ぶ)は母親からの自立の隠喩だという仮説の普遍化なのだが、DNAまで行っては何をかいわんや(それ以前にすでにダメだけど)。生物学的本質主義とは結局プラトニズムのことか。

 井亀あおいを知ったことが一番の収穫かもしれない(水間本、資料としては買っても惜しくない。文章はちゃんとしているし。一つだけ長所をあげるなら、この人は自分のそういう嗜好が切実な問題であるからこそかかわりつづけてきたのであり、ただの研究テーマとして政治的、イデオロギー的発言をするようなポジションからははるかに遠いことだ。結局、袋小路に入ってしまったようだが)。十六歳で自殺した少女だが、日記と創作が二冊の本として残されているそうで、引用されている文章を見て読みたくなる。日比谷にでもあればと、東京都、荒川、台東と図書館検索するが、広尾にしかない。とうに絶版だと思い込んでいたのだが、最後にe-honで検索してみたら、なんと新本で、ある! 早速二冊とも注文。あおいの母親、小学生の彼女を、よるべない表情をしているからと特殊学級に入れることを望み(特殊学級の教師と子供の関係を見て、そこで指導してもらえばそういう表情が消せると考えたそうだ)、成績上位の子を入れられないと断わられたとか。すご過ぎ。
by kaoruSZ | 2006-03-01 18:27 | 日々 | Comments(5)
Commented at 2006-03-07 10:45
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by kaoruSZ at 2006-03-08 17:43
humsumさん、ありがとうございます! 
今日は午前中歯医者だったので、今コメントに気がつきました。
15日まで楽しみに待ちます(ドキドキ)。
今日は三信ビル内のニューワールドサービスで、遅いおひる食べてきました。
先週も歯医者のあとに寄ったところ、お客が来過ぎて用意が間に合わないからと断わられましたが、今日は大丈夫でした。
このビルはいつまで、とお客さんに聞かれた老店主が、三井不動産に聞いて下さいと(ちょっと怒ったように)答えていましたよ。
Commented at 2006-03-09 05:33
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by kaoruSZ at 2006-03-09 09:34
いえ、残念ながらやはり3月いっぱいのようです。地下の、テナントで働く人のための無料休憩所にも、3月31日で閉鎖しますとあるのを昨日見ました。
でも、一階のノックスフォトサービスとあと宝石屋さんですか、それに地下の本屋さんや床屋さんもまだやっていますね。床屋さん、今まで気づきませんでしたが、開店当時らしい写真がウィンドウに置いてありました。名称、理髪店じゃなく、銀座三信ビル内○○調髪所とあります。
私も、土曜日に寄ったらNWサービス休みだったのでもう閉めちゃうのか?と思いましたが、このところ土曜日も休みのようだとウェブで書いている人がいたので、地下鉄を途中で降りてみました。もうすぐなくなるなんて嘘みたいに普段どおりの営業を続けています。そんなに混んでもいませんでした(以前はもっとガラガラにすいてましたけど)。昨日店主に声をかけていたのは年配の女性で、はじめて来たらしい連れの女性のほうは、は古い照明器具の美しさに感心していました。店主のおじいさんは、「私はこのビルじゃないから」[だから知らない]と言いはっている感じで、自分は続けたいのに、という思いが口調ににじみ出ているように思いました。
Commented by humsum at 2006-03-10 05:13
おはようございます!
素敵なコメントを沢山ありがとうございました!!
三信ビル、やはり今月いっぱいなんですね..
今営業している方は、最後まで普通にやるんですね..
心意気を感じます..
三信ビルの創建時代の古い写真が雑誌に載っていました
アーケードの天井は、星が輝いていたようです..
当時、見てみたかったです..