おわぁ、寝てるだけです 本館探さないでくなさい/ブログ主 鈴木薫の他に間借人の文章「tatarskiyの部屋」シリーズも掲載しています

by kaoruSZ

f事件を検証する——予備的考察

個人的な仕返しというのは、あまり好みではない。それはわたしがエクリチュールに対して持っている考えに反するし、そこにはどうしてもさもしさが付きまとうだけでなく、最初の見せ場が終わってしまえば、退屈さが残るだけだと思うからだ。
——ロラン・バルト                                 

彼女は家にいて、知性のはけ口もなかった。むしろダンスに行きたいときでも、他者を最優先して、父の看病をする。彼女は病気になって、このような「女」の意味全体を、さらにそんな意味を含んでいる言語をも拒絶することにより、「女というもの」の義務を拒絶する。(……)アンナの抵抗はどこから生じるのか。明らかに意識ではない。アンナは父を愛しており、彼から解放されたいとは意識的には思っていないからだ。                          ——キャサリン・ベルシー
              
転んでもただでは起きない ついでに行水だ                               
——野良犬黒吉


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I  こんにちは! メール&ウェブ・マガジン「カルチャー・レヴュー」の読者の皆様にはおなじみの——いえ、ごぶさたの——Iでーす。もう一昨年になりますが、『オニババ化する女たち』をサカナにさんと対談して以来ですね。

kaoruSZ(以下S)  Iちゃん、気が早い。ここはまだ「ロワジール館別館」なんだから、〈おなじみ〉ではないでしょ。

I  そういう方にははじめまして! 「カルチャー・レヴュー」見て下さいね。2004年の4344号で、例のトンデモ本について二人でお話ししています。 

S  Iちゃんに来てもらったのは、今回のテーマがまさしくそのオニババ本批判の、ある意味、延長上にあると考えられるからでもあります。

I  え、そうなの? 「こわいもの知らずにも」ここを攻撃してきた、フェミニズム・バッシャー[当ブログ8月1日、2日の各記事〈生物学 対……?〉 〈私がフェミニズムの大義wのために病者という弱者を政治利用しているとか糾弾する御仁が〉およびそこについたコメント参照]の吊るし上げに私が最適だからじゃないの?

S  いえ、吊るし上げようにも、リンク先がないからどこの誰やらわからない。「正体不明なのです」と新しい記事を立てたら(2日)、「はいはい、あなたこそ正体不明ですね」と書き込んできたでしょう。そのあとも、同様の「それを言うおまえこそ」のワンパターンが目立ちます。芸がないのでがっかりしました。

I  直接会うことなどない以上、文章の中にしか、さんはいないんだから、さんについて知りたければここ(ロワジール館別館)を読めばいいのにね。まあ、ああいう人は、ちゃんと読ま/めないからこそ、反射的にからんでくるんだろうけど。

S どこの誰というのは、むろん本名を名乗れとかいうんじゃありません。尻尾を巻いて逃げればすむ状態で出てくるなということです。この人のケースはフェミニズムへのバッシングの一例として、来月1日発行の「カルチャー・レヴュー」で扱う予定ですが、その前に宣伝を兼ねて軽く話しておこうかと。

I  込み入ってますけど、どのあたりから? 

S  発端からやるしかないかな。

I  えーと、まず、【嗚呼女子大生活】というブログをやっているchidarinnさんのエントリ女性の静かな抵抗—うつを政治的に読み替える— (http://d.hatena.ne.jp/chidarinn/20060727/p1も参照のこと)がありまして、それについてkmizusawaさんがご自分のブログ【kmizusawaの日記】に「女性のうつ」は「抵抗」か— を書き、それをさんが読んで、ここ[ロワジール館別館]で触れたんですよね。

S  はい。chidarinnさんはNHKの番組を発想源としてお書きになったんですが、それは私は見ていませんし、kmizusawaさんもごらんになっていません。kmizusawaさんは「抵抗」を意識的、積極的なものとして受け取って、chidarinnさんの意見に反対しています。私は、その解釈は明らかに誤解だと思ったので、「chidarinnさんに基本的には賛成」という立場から書きました。

I  それだけのことが、《元記事の作者は、科学などは関係がないと嘯いて、意図的なプロパガンダを行うことを公言していますが、そのような言説のどこが「ちゃんと考えている」「批判に対してはきちんと答えている」のですか。身贔屓も大概にしてください。そして、あなた方の「大義」のために、病者という弱者を政治利用することはやめてください。もしやめないのであれば、あなた方こそが差別者であると私は告発しなければならないことになりますよ》てな妄説を引き寄せちゃったんですよね。

S  まったく。関係もないのにこっちにフラフラ寄ってきてね。惑星の重力に引かれた彗星のように、と言ったら、自然科学の言説の濫用でしょうか (苦笑)。
 ただ、そのときchidarinnさんの批判者(kmizusawaさん以外の、たとえば【daydreambeliever】http://d.hatena.ne.jp/cachamai/20060727/p4のような)——というよりはむしろ圧倒的な無理解と反感を彼女に向けてくる人たちがいなかったら、私がこの話を取り上げたかどうか疑問です。抵抗としての女性の病というのは、けっして目新しい観点ではありません(病名こそ違いますが古典的な、アンナ・Oのケースについての記述を最初に掲げておきました)。そのことが忘れられ、突拍子もないことのように受け取られることにむしろ驚きました。
 なお、今、Iちゃんが読み上げたfarceur(以下f)なる人物のコメントは、明らかにchidarinnさんへの誹謗中傷です。だって、元記事のどこを読んでも、「科学などは関係がないと嘯いて、意図的なプロパガンダを行うことを公言」してるなんて事実はないもの。

  chidarinnさんのブログでは、f氏もそこまでおかしなことは言ってないんですよね。

S  chidarinnさんの文章を読めてないことは確かだけど、元うつ病者と名乗っていることもあって、なんでこんなことを言い出したんだろうと不審を抱かせるほどおかしくはありません。「当事者」の一部にありがちな、文脈に関係なく自分の主張だけを言い立てることしか頭にない人だとは思いました。《「女性のうつ」問題で元記事作者を擁護していた人はいずれも「批判にきちんと答えていた」などと言うばかりで、私その他の批判には無視を決め込んでいますが、どういうご了見でしょうか?フェミニズムというのは無謬の真理なのでしょうか?》とf氏は書いてますが……この最後の文、笑えるでしょ?

  前の部分とのつながりが完全に不明。

S  こっちは「無視を決め込んでいた」んじゃなくて、その前に[f氏が]chidarinnさんに完全に論破されちゃってるもんで……。

I  議論はそこで終ってるから、あらためて[f氏の意見を]取り上げる必要はないと思いますよね。ところが、それが不満で噛みついてきたんだ。

  自分の意見を容れない相手=狂信的フェミニストというこの飛躍。

I  でも、彼の世界ではそれが“真理”なんですね。「無謬の真理」とか、さんが間違っても使いそうにない語彙なもんで、さんを知っている私としてはなおのこと笑えます。

S  だから、特に私にあてて書かれているわけじゃないんですよ。
 前にね、昼間うちにいたら、「奥さんですか?」と電話がかかってきたの。「違います」と答えるじゃない。そしたら、「ボク、奥さんの浮気を知ってるんだけど」と来た。

I  アハハハー、なんだそりゃー!

S こっちは「バカ」とひとこと言って切りました。なんでヴァカなのか?

I  奥さんじゃないって言ってるのにね。

S  そう。それと同じですよ、f氏のやったことは。《「症状」は「個別的」であるからこそ、薬物療法や心理療法など個別の対応がなされるのであって、「ジェンダー論」などという画一的な処方箋は何の役にも立ちはしません。》と彼は書いていますが、私はこの主張は正しいと思います。では、彼の何が間違っているのか? 私に対してそれを言うことです。これに反することを、私は全く言っていないわけですから。「ジェンダー論」ですべてが解決するなんて、思ってもいない——と私が言明することは、この際たいして重要ではないでしょう。私の8月1日の記事のどこにもそんなことが書かれてないのは、誰が見ても明らかなことです。ついでに言えば、chidarinnさんだって書いていません。要するに、電話の相手に「奥さん」であることを否定されてもシナリオを変更できないボクちゃんのように、f氏には自分の思い込みだけがあって、幻の女(「奥さん」ならぬ「フェミニスト」)しか相手にできない。「個別的対応」が全くできないのです。

  Sさん、その電話切って無視したわけでしょう? どうして今回無視しないんですか。あらためて「カルチャー・レヴュー」で正面から取り上げるだけの価値があります? 手紙のお相手のXさん[件のエントリはXさんあての手紙の形を取っていた]は心配して、「ご意見ありがとうございます」とやり過ごしてしまえ、とメールしてきたんでしょう?

  うん。バカだから相手にするなってね。

I  それなのにどうして?

S  私の方がXさんより、fさんをバカにしてないってことですよ。

I  いったいどうやったらこういう人をバカにしないですむんですか?

S  せいぜい「利用」させてもらいましょう。こっちは逆立ちしたってこんな文章は考え出せやしません。貴重な資料ですよ。

I  芸がないから標本にもなりませんね、とXさんは言ってきたんでしょう?

S  うん。Xさんはつくづく争いを好まない人なんだなと感心しました。私がf氏とケンカするのを心配して、付加疑問文で同意を求めてきたのね。でも、ケンカするわけじゃないから。勝ったところで自慢にもならないでしょ。だいたい、勝ち負けなんて最初から明らかなんだしね。

I  そりゃ、彼我の知力の差が最初から明らかだから!(笑)

S  いえ、フェミニズムが無謬だから!(大笑) 冗談はともかく、私の書いたものをきちんと読んでくれる人には、こっちは難癖をつけられているだけだとわかるでしょう。相手の言っていることの根拠のなさを示すのは簡単だけど、それでは時間を取られるだけで得るものは何もない。

  だったらなぜ無視しないのか。

  だって今回、得つつあるものがすごく多いんだもの! 前回の「カルチャー・レヴュー」の締切のとき、私、書けずに困っていたでしょ。それが今度のことで、脳が一挙に活性化されたの。

I  下らない言いがかりでも有難い?

S  8月1日付の手紙の形をとった記事には、実際にXさんに出した手紙が組み込まれているわけですが、あれを載せたときもまだ不調でした。Xさんに意見を言ってもらえると有難いと思ってたんだけど、なんとこのとき、Xさん、うつじゃないかというほど、気分的に落ち込んでいて。

I  ま!

S このまま治らなかったら心療内科に行こうかと思っているなんてメールが来て。だから、f氏のことでは心配してくれたけど、それ以外の助言はもらえなかったの。ところが、今回のことに直接関連するものしないものとりまぜて読むうちに、あそこでまだ萌芽状態だった考えがどんどんつながって行きました。だから今回、「映画館の日々」[Sが「カルチャー・レヴュー」に隔月掲載している記事」http://kaorusz.exblog.jp/i16/参照] のスペースで、そっちをやりたくなりました。f氏は、chidarinnさや私が病者を政治利用するとか意味不明のことを書いてましたね。そんなことはありえないけど、勝手に飛び込んできて木の根っこにぶつかりバカをさらしているウサギは利用できます

I  farceur完全利用。

S  反論なんていうレベルじゃなくね。

  論文でも書きますか?

S  いえ、そうじゃなくて、Iちゃんに語るというレベルなの。

I  えー、そんな低レベル?!

S  どうして低いのよ! f氏に語ったってはじまらないじゃない。私は啓蒙なんて退屈なことはしません。むしろIちゃんにこそ語りたい。だからぜひお相手を。

I  うーん。せいぜい読者を退屈させないよう努力してみます……。

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by kaoruSZ | 2006-08-28 13:06 | ジェンダー/セクシュアリティ | Comments(0)