おわぁ、寝てるだけです 本館探さないでくなさい/ブログ主 鈴木薫の他に間借人の文章「tatarskiyの部屋」シリーズも掲載しています

by kaoruSZ

諸葛瑾参上…明日「鋼鉄の宴」

 エクスパックはじめて使った。書留同様なのは知っていたが、パソコンでできる追跡サービスがあるとは知らなかった。昨日の早朝、東京中央郵便局で出したのが、19:22 「千葉支店」を「通過」、翌3:55 には地元の本局について、現在そこから持ち出されているというのが見られる。配達はもう時間の問題だ。明日の鋼鉄三国志同人誌即売会「鋼鉄の宴」、居候で参加するのだが、無料配布本として作った《緊急座談会「『鋼鉄三国志』は〈事件〉か?」by 鋼鉄オールキャラクターズ》 (本文はweb評論誌「コーラ」3号に掲載)はこれで朝から配ってもらえる。

 そして――新作『第三集 夏のなごりの薔薇』、他にも理由はあるが朝から駆けつけるのが無理ではないかということもあって正式参加見送ったのに、駆けつけるしかなくなった。最後までテクストが確定しない。見切りがつけられない。これで本の形にしてページをめくったとたん、直すべきところが見つかるんだと思うと手離せない。もう今はあきらめたが。本になる前にあとがき(と目次)を公開。今回あとがきもなかなか出てこなかった。とりあえず何部製本できるかわからないけれど、通信販売もやります。


諸葛瑾参上 あるいは Comment j'ai écrit certains de mes livres (3)

 ……周瑜が孔明を自室に呼んだ夜何があったのか、最初の構想は周瑜が孔明の誘惑に乗るというものだったが、テクストでは孔明がりっくんに向かってその話をしながら反対のことを言うので整合させられずにいたが伏線を張る。その意味は、しかし第六話にならなければ明らかにならない。
                 (第一集 紺青の別れ あとがき)             

 ここでいう第六話は現行の第七話にあたる(「私の青空」が入ったため)ので、これで最初の構想にようやく追いついたことになる。

 陸遜と凌統が孔明を尋ねる旅に出ることはオフィシャル・サイトで予告されていたから、そのあたりまでをひとまず視野に入れていたのだが(というかその先は考えていなかった)、いざその回になってみると〈鋼鉄〉世界では蜀はずいぶん近場のようで、あっという間に旅は終り、草庵での師弟対決へと舞台は移る。しかしそれ以前の、ためらいもなく孫権を狙い、魯粛を殺し、陸遜も倒して、玉璽を奪うことが孔明の意思だと動けない彼に勝ち誇って告げるサディスティック趙雲(別名「気違い忍者」(c) Izさん)に目を見張らされた本篇十五話の幕切れで、もうすっかり〈鋼鉄〉世界に入り込んでしまっていたから、そんなことは――そして周瑜の後を襲って大都督になるべき魯粛があっさり退場してしまったことも――どうでもよくなっていた(もっとも、周瑜が軍師だったり提督(!)だったり曹操の船が「赤壁丸」(!)だったりするのは、いまだにどうでもいいわけではなく、私の本では周瑜は都督としか呼ばれないし、後者は固有名詞を避けて「曹操の船」である。まあ、孔明は兄上が「赤壁丸」(!)にいた頃いにしえより伝わる(!)七星壇でいったい何のダンスしてたのか、モアイ(違…)が立ち並ぶ五丈原はいったいどういうところだったのか、どうでもいいと言っておくしかないことも多いが)。

 もう一つエポック・メイキングだったのは、本篇十七話の諸葛兄弟別れの場だ。あれはもう、「もうあたしらに過去はない」と諸葛瑾が言ったその過去のためのスキマが造られたようなもの。これを埋めたくなった人は多かろうが、私の場合、その材料の一部は、なんとも安易なことに『私説三国志 天の華・地の風』からの流用である(孔明が子供のとき兄の不注意でさらわれたとか、兄と叔母/継母の関係とか使いまわしもいいところ。ただし、天華の孔明と子瑜が相愛というのは、たとえば『三国志演義』で周瑜×孔明や魏延×孔明がありえないのと同じくらいありえない)。そうそう、毒を使って周瑜を孔明が暗殺というのもそうだった。(天華の孔明は毒入り香油を肌に塗るだけです。念のため。忘れていた(!)が、中に仕込むというのは『孔明華物語』のオリジナル、ここはセルフ・イミテーションだった。)

 孔明を尋ねる旅に出た陸遜と凌統が趙雲に出会う第六話(本書の第七話)は最初からの構想だが、現行第七話では後半が諸葛瑾の一人称語りになった。そして第八話は完全に諸葛瑾のターン。要するに、成都のバルコニーの場はこの二作の中に分割して(舞台をバルコニーからベッドに移して)組み込まれることになったのだ。六七話は夏からずっと書きかけのまま抱えていたのに、八話は十一月二十日の午前とあくる朝の早い時間にほぼ書き上げられ、二十二日午後にプロローグ(*で区切られた前の部分)が接続された。なお、諸葛瑾が頭脳派の本領を発揮する《緊急座談会「『鋼鉄三国志』は〈事件〉か?」by 鋼鉄オールキャラクターズ》 (web評論誌「コーラ」3号に掲載ののち、無料配布本に再録)は、これよりあとに構想された。

 諸葛瑾が今回ところどころで洩らしている「赤壁丸」(!)潜入前後のいきさつは、最近になって加わった。あれも、リアルタイムで見たときは、諸葛瑾に「苦肉の策」をやらせることに違和感しか覚えなかったが、それは諸葛瑾の魅力がまだ見えていなかったからだ。ここで魅力というのは、読者の同一化を誘う性的対象かつ/または主体となりうる資質というほどの意味である。老黄蓋(『鋼鉄』には別な黄蓋が登場するが)ではとうてい無理で、それに気づいてみればあの「苦肉の策」の担い手は代役などではない、むしろ彼自身のために用意された役と思えた。

 周瑜が殺された理由もまた、魅力的な諸葛瑾によって解決(捏造)されよう。(アニメ本篇では孔明は周瑜を殺していない。念のため。)「鍼をお願いします」の場で周瑜が据え膳を食わなかったからという理由づけは、私自身、腑に落ちていなかった。

 ちなみに、孫策に会いに行ったときも、若い孔明は彼を誘惑しようとして退けられていると思う。これは『鋼鉄三国志―呉書異説―』(妹尾ゆふ子 コナミノベルス)を読んだ人なら当然考えることだろう(退けないのもありだが)。小説版の続篇がこの作者によって書かれなかったのは(文章力の面だけでなく)残念だ。これはTV放送分では触れられることのなかった挿話だが、最終回に至って孔明は陸遜に、そなたの父を殺させたのは私だと唐突に言ってしまっている。

 最終回は、しかし(右の記述とどうつながるのか、番組を知らない人には不可解になるが)『鋼鉄三国志』がまぎれもなく孔明と陸遜の〈愛〉の物語であったことを喜ばしく再確認させたのであり、「青水月の章」はこれなしには書かれえなかった。

 で、このあとは?
 黄祖の下で文字を覚えた頃のことを回想しながら「周瑜さま」に手紙を書こうとしている甘寧。
 趙雲と隠れ棲む孔明の居場所を探しあてて尋ねてゆく兄。
 一度は死んで「冷凍」されていたんだからディックの『ユービック』でもやるか(やれるか?)。
 といったところ……。


第三集  
・第六話  白南風(しらはえ)                                       
・第七話  夏のなごりの薔薇                                       
・第八話  黄落の宿                                  
・外伝 二  青水月(あをみなづき)の章    
                              
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by kaoruSZ | 2008-02-09 10:44 | ◆売り物「孔明華物語」他 | Comments(0)