おわぁ、寝てるだけです 本館探さないでくなさい/ブログ主 鈴木薫の他に間借人の文章「tatarskiyの部屋」シリーズも掲載しています

by kaoruSZ

カテゴリ:◆売り物「孔明華物語」他( 15 )

出版物通販のお知らせ

〈レズビアンとバイセクシュアル女性のためのスペース LOUD〉を拠点に活動を続けている「レズビアン小説翻訳ワークショップ」と、同ワークショップの講師でもある翻訳家の柿沼瑛子氏によって、昨年末、小冊子『ポールの場合』(表紙画 純原悠漓氏)が出ました。百年前のアメリカの地方都市に生きるゲイの少年ポールを主人公にしたウィラ・キャザーの短篇「ポールの場合」(柿沼瑛子監訳)を収めたほか、レズビアン作家キャザーについては、鳴原あきら氏の要を得た紹介文が載っています。また、私も、作品論「In Queer Street――ポールの奇妙なケース」を書かせてもらいました。『ジキル博士とハイド氏の奇妙な事件』を引き合いに出して論じたものです。

 広くブログ読者の皆さまに読んでいただきたく、当方でも通販をいたします。dokushokai@hotmail.comへ、住所とお名前を明記の上、お申し込み下さい(A5判92ページ/本体500円/送料210円)。郵便振替口座の番号をお知らせし、入金確認の上で発送という手順になります。



*三国志本についてお問合せ下さった方々へ申し上げます。まだ増刷に取りかかれていないため、今回の通販開始は上記の本のみになります。申し訳ありませんがしばらくお待ち下さい。
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by kaorusz | 2010-02-19 19:57 | ◆売り物「孔明華物語」他 | Comments(0)
 来る25日(日)に蒲田で行われる三国志オンリーイベント「交地ニハ絶ツコトナカレ」に参加する友人が、私の無料配布本を置いてくれることになりました。
http://www.youyou.co.jp/only/musou/

D13 サークル名; Westhaven

☆緊急座談会「『鋼鉄三国志』は〈事件〉か?」by 鋼鉄オールキャラクターズ
 内容はweb評論誌「コーラ」3号に掲載したものの再録+αです。
 急遽増刷、製本しましたが、部数がありませんのでお早めに。

 せっかくですので、小説も数冊預けました。あいにく二集を切らしており(来月増刷の見込み)、一、三集のみです。

裏説鋼鉄三国志(各500円) 

☆第一集 紺青の別れ

☆第三集 夏のなごりの薔薇


 スペースの関係で外には出しませんので、売り子にお尋ねください。
 その際、 「ロワジール館別館で見た」 
/とおっしゃって下されば、割引します!
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by kaoruSZ | 2008-05-22 05:39 | ◆売り物「孔明華物語」他 | Comments(0)
 エクスパックはじめて使った。書留同様なのは知っていたが、パソコンでできる追跡サービスがあるとは知らなかった。昨日の早朝、東京中央郵便局で出したのが、19:22 「千葉支店」を「通過」、翌3:55 には地元の本局について、現在そこから持ち出されているというのが見られる。配達はもう時間の問題だ。明日の鋼鉄三国志同人誌即売会「鋼鉄の宴」、居候で参加するのだが、無料配布本として作った《緊急座談会「『鋼鉄三国志』は〈事件〉か?」by 鋼鉄オールキャラクターズ》 (本文はweb評論誌「コーラ」3号に掲載)はこれで朝から配ってもらえる。

 そして――新作『第三集 夏のなごりの薔薇』、他にも理由はあるが朝から駆けつけるのが無理ではないかということもあって正式参加見送ったのに、駆けつけるしかなくなった。最後までテクストが確定しない。見切りがつけられない。これで本の形にしてページをめくったとたん、直すべきところが見つかるんだと思うと手離せない。もう今はあきらめたが。本になる前にあとがき(と目次)を公開。今回あとがきもなかなか出てこなかった。とりあえず何部製本できるかわからないけれど、通信販売もやります。


諸葛瑾参上 あるいは Comment j'ai écrit certains de mes livres (3)

 ……周瑜が孔明を自室に呼んだ夜何があったのか、最初の構想は周瑜が孔明の誘惑に乗るというものだったが、テクストでは孔明がりっくんに向かってその話をしながら反対のことを言うので整合させられずにいたが伏線を張る。その意味は、しかし第六話にならなければ明らかにならない。
                 (第一集 紺青の別れ あとがき)             

 ここでいう第六話は現行の第七話にあたる(「私の青空」が入ったため)ので、これで最初の構想にようやく追いついたことになる。

 陸遜と凌統が孔明を尋ねる旅に出ることはオフィシャル・サイトで予告されていたから、そのあたりまでをひとまず視野に入れていたのだが(というかその先は考えていなかった)、いざその回になってみると〈鋼鉄〉世界では蜀はずいぶん近場のようで、あっという間に旅は終り、草庵での師弟対決へと舞台は移る。しかしそれ以前の、ためらいもなく孫権を狙い、魯粛を殺し、陸遜も倒して、玉璽を奪うことが孔明の意思だと動けない彼に勝ち誇って告げるサディスティック趙雲(別名「気違い忍者」(c) Izさん)に目を見張らされた本篇十五話の幕切れで、もうすっかり〈鋼鉄〉世界に入り込んでしまっていたから、そんなことは――そして周瑜の後を襲って大都督になるべき魯粛があっさり退場してしまったことも――どうでもよくなっていた(もっとも、周瑜が軍師だったり提督(!)だったり曹操の船が「赤壁丸」(!)だったりするのは、いまだにどうでもいいわけではなく、私の本では周瑜は都督としか呼ばれないし、後者は固有名詞を避けて「曹操の船」である。まあ、孔明は兄上が「赤壁丸」(!)にいた頃いにしえより伝わる(!)七星壇でいったい何のダンスしてたのか、モアイ(違…)が立ち並ぶ五丈原はいったいどういうところだったのか、どうでもいいと言っておくしかないことも多いが)。

 もう一つエポック・メイキングだったのは、本篇十七話の諸葛兄弟別れの場だ。あれはもう、「もうあたしらに過去はない」と諸葛瑾が言ったその過去のためのスキマが造られたようなもの。これを埋めたくなった人は多かろうが、私の場合、その材料の一部は、なんとも安易なことに『私説三国志 天の華・地の風』からの流用である(孔明が子供のとき兄の不注意でさらわれたとか、兄と叔母/継母の関係とか使いまわしもいいところ。ただし、天華の孔明と子瑜が相愛というのは、たとえば『三国志演義』で周瑜×孔明や魏延×孔明がありえないのと同じくらいありえない)。そうそう、毒を使って周瑜を孔明が暗殺というのもそうだった。(天華の孔明は毒入り香油を肌に塗るだけです。念のため。忘れていた(!)が、中に仕込むというのは『孔明華物語』のオリジナル、ここはセルフ・イミテーションだった。)

 孔明を尋ねる旅に出た陸遜と凌統が趙雲に出会う第六話(本書の第七話)は最初からの構想だが、現行第七話では後半が諸葛瑾の一人称語りになった。そして第八話は完全に諸葛瑾のターン。要するに、成都のバルコニーの場はこの二作の中に分割して(舞台をバルコニーからベッドに移して)組み込まれることになったのだ。六七話は夏からずっと書きかけのまま抱えていたのに、八話は十一月二十日の午前とあくる朝の早い時間にほぼ書き上げられ、二十二日午後にプロローグ(*で区切られた前の部分)が接続された。なお、諸葛瑾が頭脳派の本領を発揮する《緊急座談会「『鋼鉄三国志』は〈事件〉か?」by 鋼鉄オールキャラクターズ》 (web評論誌「コーラ」3号に掲載ののち、無料配布本に再録)は、これよりあとに構想された。

 諸葛瑾が今回ところどころで洩らしている「赤壁丸」(!)潜入前後のいきさつは、最近になって加わった。あれも、リアルタイムで見たときは、諸葛瑾に「苦肉の策」をやらせることに違和感しか覚えなかったが、それは諸葛瑾の魅力がまだ見えていなかったからだ。ここで魅力というのは、読者の同一化を誘う性的対象かつ/または主体となりうる資質というほどの意味である。老黄蓋(『鋼鉄』には別な黄蓋が登場するが)ではとうてい無理で、それに気づいてみればあの「苦肉の策」の担い手は代役などではない、むしろ彼自身のために用意された役と思えた。

 周瑜が殺された理由もまた、魅力的な諸葛瑾によって解決(捏造)されよう。(アニメ本篇では孔明は周瑜を殺していない。念のため。)「鍼をお願いします」の場で周瑜が据え膳を食わなかったからという理由づけは、私自身、腑に落ちていなかった。

 ちなみに、孫策に会いに行ったときも、若い孔明は彼を誘惑しようとして退けられていると思う。これは『鋼鉄三国志―呉書異説―』(妹尾ゆふ子 コナミノベルス)を読んだ人なら当然考えることだろう(退けないのもありだが)。小説版の続篇がこの作者によって書かれなかったのは(文章力の面だけでなく)残念だ。これはTV放送分では触れられることのなかった挿話だが、最終回に至って孔明は陸遜に、そなたの父を殺させたのは私だと唐突に言ってしまっている。

 最終回は、しかし(右の記述とどうつながるのか、番組を知らない人には不可解になるが)『鋼鉄三国志』がまぎれもなく孔明と陸遜の〈愛〉の物語であったことを喜ばしく再確認させたのであり、「青水月の章」はこれなしには書かれえなかった。

 で、このあとは?
 黄祖の下で文字を覚えた頃のことを回想しながら「周瑜さま」に手紙を書こうとしている甘寧。
 趙雲と隠れ棲む孔明の居場所を探しあてて尋ねてゆく兄。
 一度は死んで「冷凍」されていたんだからディックの『ユービック』でもやるか(やれるか?)。
 といったところ……。


第三集  
・第六話  白南風(しらはえ)                                       
・第七話  夏のなごりの薔薇                                       
・第八話  黄落の宿                                  
・外伝 二  青水月(あをみなづき)の章    
                              
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by kaoruSZ | 2008-02-09 10:44 | ◆売り物「孔明華物語」他 | Comments(0)
 子供の頃、子供の歌はいろいろな事柄を広くあつかっているのに、大人の歌は恋がどうした愛がどうしたばかりであるのに気づき、なぜだろうと不思議に思ったことがあります。でも、大人になってわかりました。子供と違って、大人にはもうそれしか残されていないのだと。 同様に、「一週間」という歌(「♪日曜日は市場へ出かけ~」)、なんで一日に一つのことしかしないのだろうと不思議に思っていましたが、大人になった今わかりました。大人は一日に一つのことしかできないのです!

 というわけで、その日その日の雑事(1コ)に押しのけられてのびのびになっていた、通信販売の広報をこの機会にいたします。

(1)現在までに「鋼鉄三国志」ベースの小説集を二冊出しています。これは在庫もあり、すぐにお送りできます。

(2)「私説三国志 天の華 地の風」の設定を使った「孔明華物語シリーズ」は、残部僅少ですのでお問合せ下さい(内容については以前の記事に詳しいのでカテゴリでたどってご覧下さい)。今後、増刷する予定ですが、手作業のため、ここしばらくは時間が取れないと思います。ご注文があれば優先的に増刷いたします。
 なお、旧年中にお問合せをいただいた方の分は取り置いています。

問合せ先 dokushokai@hotmail.com  鈴木 薫

 郵便小為替の手数料がはね上がりましたので、郵便振替の口座を開きました(これですとATMの場合、手数料が80円ですみます)。ご希望の本がお決まりの場合は、 書名、冊数、送付先のご住所、お名前をお知らせ下さい。こちらから本の代金+送料と振込先をご連絡しますので、その金額を振り込んでいただきます。入金の確認には数日かかる場合があります。

(1) 裏説 鋼鉄三国志
第一集 紺青の別れ【2007年8月刊/A5判2段組40頁/500円】
●第一集 紺青の別れ
・第一話 紺青の別れ(陸遜×凌統 他)
 孔明を逃がした廉で周瑜は陸遜を捕え、凌統の身柄も拘束する。孔明を討つと告げられた陸遜の行動は周瑜には当然予測できたはずであり、陸遜を呉に残して行けばどうなるか孔明も承知していたはずだが……。釈放された二人ははじめて身体を重ねるが、凌統には陸遜に言えない秘密ができていた。                                     

・第二話 鴇色の午後(陸遜×凌統 他)
 とある午後、周瑜とその私房に呼ばれた凌統、凌統とその生足を見てしまった陸遜、都督と彼を「お慰めすること」を許されたしもべ甘寧、そして水と魚の主従、六人四組の織りなす出来事(アフェア)のスナップショット。

・外伝 一 緑陰 其一(孫策/周瑜)
 あ~る日とつぜん、ふたりだま~るの~~~♪

第二集 黄昏の百合【2007年11月刊/A5判2段組56頁/500円】
・第三話 黄昏の百合(凌統/甘寧)
周瑜の遺体を安置しての殯(もがり)の日々、自責の念と孔明への疑いから、玉璽を抱えて引きこもる陸遜もさることながら、甘寧の姿がないのを危ぶんだ凌統は彼を訪ね、彼と都督の関係の真実を聞く。

・第四話 百日紅の闇(孔明×陸遜、凌統/甘寧)
周瑜の弔問に孔明がやってくる。敵意を剥き出しに彼を迎えた人々も、その真情あふるる死者への手向けの言葉に本気で感動。師への疑いを忘れ、巧みな言葉に真心はかえって邪魔なのだという諸葛瑾の言葉も耳に入らない陸遜に対し、凌統はある決意をする。

・第五話 私の青空
 むしろ孫策の妹として生まれたかった孫権が、心惹かれた三人の男について語る。『鋼鉄三国志』第25話(雪原の逃避行です)がガチへテロに見えて気に入らなかった方にもおすすめ。

・外伝一 緑陰 其二(周瑜/孫策)  完結  

☆続刊☆

第三集 夏のなごりの薔薇(2008年2月発行予定)
・第六話 白南風(甘寧/凌統、孔明/陸遜)
・第七話 夏のなごりの薔薇(凌統×陸遜)
・第八話 黄落の宿
・外伝二 青水月の章(陸遜/孔明)

(2) 三國志遺文―孔明華物語シリーズ
三國志遺文―孔明華物語【2001年11月刊/B5判2段組96頁/700円】
三國志遺文―孔明華物語拾遺【2002年8月刊/B5判2段組94頁/700円】
あひみての——孔明華物語巻三(上)【2003年8月刊/B5判2段組84頁/700円】
あひみての——孔明華物語巻三(下)【2003年12月刊/76頁/700円】
いづれの花か――三國志遺文偽小説集【2004年5月刊/B5判2段組36頁/300円】
のちのおもひに——三國志遺文偽小説集2 【2004年12月刊/B5判2段組50頁/300円】

⑤⑥合本(⑦合本 三國志遺文偽小説集/600円)もあります。
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by kaoruSZ | 2008-01-01 02:12 | ◆売り物「孔明華物語」他 | Comments(0)

新刊

 コピー本の製本は細心の注意を払わないと覿面に仕上りにかかわるので、けっして好きな作業ではない。
 文章の切れ端をファイルにほうり込みいじっているうちに形になるのとは違うのだ。
 表紙や見返しの紙を選んだり配色を考えたりするのは好きだが。
 グレイの濃淡で渋くまとめた『黄昏の百合』、ともあれ出来上がって嬉しい。
「孔明華物語」の増刷は、結局手が回らなかったので、延期。

今日の売り物
・裏説 鋼鉄三国志 第一集 紺青の別れ
・裏説 鋼鉄三国志 第二集 黄昏の百合

「孔明華物語」については、おわけできるものもありますので直接お尋ねください。
 G46 Westhaven様方にてお待ちします。
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by kaoruSZ | 2007-11-11 01:24 | ◆売り物「孔明華物語」他 | Comments(0)

交地ニハ絶ツコトナカレ

>鋼鉄本で現在できているのは「裏説 鋼鉄三国志」第一集のみですが、イベント当日は三集までそろえて提供する予定。それ以前に第二集ができたら、先に通信販売を開始しようと思っています。【9月3日付「通販の予定など」】

 まったく、二ヵ月先のことなんて予告するものじゃないですね……。

 第二集、現在はまだパソコンの中ですが、出来上がりました。タイトルに挙げた名を持つ即売会は三日後です。
 予定になかった第五話が加わりました。目次とあとがきを以下に載せます。

第二集 黄昏の百合
・第三話 黄昏の百合(甘寧/凌統)
・第四話 百日紅の闇(孔明×陸遜、甘寧/凌統)
・第五話 私の青空
・外伝一 緑陰 其二(周瑜/孫策)

幽霊語る あるいは Comment j'ai écrit certains de mes livres (2) 
九月二十七日衝撃の終劇。最終回でいきなりあんな星が出るなんて、といぶかしむ(文句を言う)向きもあるようだが、私はNASのサイトを教わって公式サイトではぎりぎりまで伏せられていた(放送当日公開)二十五話のタイトル「陸伯言、紅き星落つ五丈原に舞う」と内容紹介(「赤き星が降りそそぐ五丈原――」ではじまる)を見て、ああ、江森三国志から取ったのかと思っていた。江森備の『私説三国志 天の華 地の風』では、五丈原に隕石が落ち、その騒ぎの中を魏延が孔明を連れて逃げることになっている。私自身、江森三国志ベースで書いている「孔明華物語」の一篇の内容紹介として次のように書いた。

  晝顏(ひるがほ) 五丈原に星隕つる大団円を知る由もない魏延は、成
都を包囲し皇帝となれと孔明を唆す。一方、皇帝と謀った姜維は孔明を
陥れる手筈を調えた。勅使が携えるどす黒い毒液は彼の恨みの凝(こ
ご)ったものだ。

 そもそもの「三国志」(三国志演義)では、五丈原で落ちる(流れる)星とは、孔明と対峙していた司馬懿に孔明の死を悟らせるしるしに過ぎない。それを江森さんが隕石に変えて巧みに組み込んだ。「鋼鉄」の赤き星(こちらの本体は地球に接近する彗星であろう)はこの引用なのではないか? 孔明が〈メテオ〉を落して地上を攻撃していると思った人もいたようだが、あれは彗星の周囲の細かい破片の軌道に地球が入って起こった自然現象――あんな燃えつきないでどかどか地球に到達する流星雨があるかは別にして――だろう。

 二十五話で皆が「玉璽」の中へ入ると、あたかも直前まで空で輝いていた「星」の分身のように、玉璽本体が彼らの頭上で光を放っている。大宇宙と小宇宙がそのように呼応しているというのは、古代のコスモロジーから見てもまことに理にかなった話であり、彗星を破壊して大宇宙から帰還してくる陸遜はこのミニアチュアをも破壊することになるのだから筋が通っている。龍の透かし彫りがなされた「玉璽」のキューブはその意匠からして明らかに人工的に造られたものであり、球体こそが玉璽の本体、輝く天体に似た宝珠のたぐいだ。ならば太史慈が玉璽を「玉っころ」と呼んだのも当然だったのだ(玉っころなのは擬似玉璽の方なのに太史慈何言うのと思ったのは私だけ?)。孔明の擬似玉璽は被覆なしの裸の姿。キューブ内に浮かぶ玉璽は細胞のなかの核にも似ているが、蛇がからみあったような、タールを丸めたような剥き出しのそれは、ジャン=ピエール・メルヴィルがコクトーの小説を映画化した『恐るべき子供たち』で、ポールにダルジュロスが送りつけてくる紙に無雑作にくるまれた黒い球体のようでもある。その正体は――毒だ。

 DVDに入る後日談(二十六話)には、少年・姜維が出てくるという。彼が陸遜に似ているという設定だったら……江森三国志の、周瑜と生き写しの姜維の変奏となり面白いのだが。

『私の青空』は予定になかった作品で、「鋼鉄三国志」二十三話への反発をきっかけに書かれた。男同士の関係を賞揚するのに、あからさまに女を排除するのは常套手段で、登場人物に女を入れないことでそこからまぬかれているところに鋼鉄の面白さの一つがあった。性的対象として女を入れ、そして男同士の関係の方を上に置けば、登場人物たちは「ホモ」呼ばわりされずにすむわけだが、それをあえて引き受けたというかねらったのが鋼鉄で、それだけにあの逃避行の回で、孫権は女にしか見えないから女でいい、女として見ようとストレートの男たちに言わせてしまうような作りになっていたのは残念だった。
 しかしこれをホモフォビックと言い切ってしまえるかというと……微妙だ。孫権が女と見なされてヘテロセクシュアリティに回収されてしまうか、それとも、女にしか見えない男である孫権と陸遜のカップルとして撹乱的に働くか。ともあれ、二十三話をあれでやるなら孫権についてこのくらいの前提は必要だというところを書こうと思ってはじめたのは確かだ。結果は、最初の動機よりはるかに複雑な仕上がりになったと思う。

 アニメ『鋼鉄三国志』では、六駿の仲間意識――ホモソーシャリティ――と、孔明/陸遜の愛がずっとせめぎあっていたと思う。陸遜/凌統、太史慈/呂蒙が公然たるカップルを形成し、彼らの会話の中で凌統が陸遜の妻に、孔明が陸遜の昔の女にたとえられ、甘寧が周瑜に死に別れ、諸葛瑾が弟を愛しているこの世界でも、公式にはあくまでホモソーシャリティとホモセクシュアリティのあいだには線引きがなされていた。そして、鋼鉄ファンのブログやニコニコ動画におけるコメント(特に後者)では、陸遜のへタレぶりはしばしばしば非難や悪罵の対象だった。初回から孔明は明らかに悪役としか思えない目つきを陸遜に見えないところではしていたわけだが、しかし、オープニングの映像ひとつとってみても、孔明/陸遜のカップルが話の中心であることは明白だ。孔明の真の目的は最終回まで明らかにされなかったとはいえ、孔明が悪玉でないとわかる結末は予想された。しかし、ここまで来たら孔明が死なないことにはおさまりがつかないだろうという展開になっていたので、でもそれは見たくなくて、もう最終回見るのが嫌なくらいだったが、ともかく見極めなくてはと思って見た。孔明が死ぬのは(誰もがそう信じたと思うけど)お約束として、陸遜死ぬかも、とちらっと思っていた(孔明なしでは生きられない子だから)。でも、主人公だからまさかね、と打ち消して。
 それが――。
 脚本家さすがだ。孔明にとって陸遜という愛の対象を失うのは最大の罰になるから筋も通せたし。そして、第一回から孔明を失う(彼のもとを離れる)ことにあくまで抵抗していた陸遜、最後までそれで通した! 見終わったあとは不思議に気分が爽やかだった。

 凌統の作る陸遜の好物「葱入りの餅」については、たまたま見つけた『ウー・ウェンクッキングサロン 読本1 小麦粉料理 どうしてもわからなかったおいしさのひみつ』(朝日出版社)を参考にした(実際に作ってみた)。小説に出てくる料理の描写については、もう少し詳しく書いてくれたら作れるのにと思うことがあるので、本当は中をパイのような層にする意外なやり方を説明したかったがうるさくなってしまうので……。興味のある方はこの本か、あるいはウェブで「葱花餅」で検索するとたくさんヒットするサイトを参照されたい。

『黄昏の百合』で甘寧の口から洩れる子供についての寸言は、澁澤龍彦編「怪奇小説傑作集 フランス編」に収められたバルベー-ドルヴィリ『罪のなかの幸福』のヒロインの科白から来ている。愛する男の邪魔な妻を殺し、全く罰せられることなく男と熱烈に愛し合って生き、子供のできない女がそう言う。本気でそう思っているのではないにしても気に入っている言説を、登場人物の発話として書き込むのは楽しいものだ。

『私の青空』で孫権が語る旅の物語は、エンマが、夜、眠る夫の傍で耽る空想が発想源にあるが、手元の『ボヴァリー夫人』(翻訳二種類と、該当部分が引かれたジェラール・ジュネットの本を持っているのに)が出てこない室内状況のため直接の引用はできなかった。トナカイの曳く橇で雪原を旅する話は、鈴木三重吉の『少年駅伝夫』から。これは私が子供時代に愛読した物語で、実際に弟を相手に(大半はひとりで)子供部屋で少年駅伝夫ごっこをした。ジャガイモとトナカイの肉の味(原作では宿屋で食べる)は何回想像したかわからない。旅行者が一人称で語るこの話は、実は「再話」――鈴木三重吉が外国のネタ本を使って書いた〔要するに「二次創作」〕――であることが巻末に記されており、解説まで残らず読む子供だった私に、ページを開くたびにかくも親しく語りかけてくる生き生きとした「私」が作者自身でないのみならず、ものを書く[複数の]手の狭間で生じる存在しない幽霊であることを、一種トラウマ的な衝撃とともに刻みつけていった作品。終り近くで孫権が言及する夢の国の王の話は、いうまでもなくH・P・ラヴクラフトの『セレファイス』である。
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by kaoruSZ | 2007-11-08 18:19 | ◆売り物「孔明華物語」他 | Comments(0)

通販の予定など

 来る11月11日(日)の三国志オンリー同人誌即売会「交地ニハ絶ツコトナカレ」@東京ビッグサイトに、友人のスペースの居候で参加します。

 鋼鉄本で現在できているのは「裏説 鋼鉄三国志」第一集のみですが、イベント当日は三集までそろえて提供する予定。それ以前に第二集ができたら、先に通信販売を開始しようと思っています。

 また、2000年から2004年に出した「三國志遺文 孔明華物語」シリーズ(全6冊、未完)を増刷して当日持って行くつもりです。
 それ以前に通信販売再開もするかもしれませんが、印刷、製本の時間が取れればの話なので、まだはっきりしたことは言えません。早く読みたいからさっさと作れというメール等頂くと、喜んで突然作業をはじめるということもありえます。通販利用をお考えの方、メール下されば準備でき次第ご案内を差し上げます(アドレスは「三國志遺文&鋼鉄三国志」タグ内の記事「2004年5月」に出ています)。

「子元 子上」でアクセスなさった方、うちの司馬兄弟は失望させることはないと思います。

「私説三国志 天の華・地の風 孔明 セックス」で検索された方にも、十分ご満足いただけると存じます。
(それにしても孔明華物語の記事に私が「セックス」という言葉を使うことはありえない――もっと露骨な語は使っても――と思って自分でグーグルしてみたところ、『セックスの発明』という以前書評を書いた本が同じ画面に[「ライフログ」として]出ていたと判明。)

「鋼鉄三国志 二次創作」でいらした方もあり。私は自分の作品を「二次創作」とは呼ばないのですが(広い意味ではすべての作品は二次創作であり、そして相対的には私の書くものは〈オリジナル〉ですから)、これも別記事が引っかかったと判明。結果としてはよかったですね。

 生まれてはじめて即売会でスペースを取り、「孔明華物語」を並べた時のこと、大変美しいお嬢さんが近づいてきて全冊買って下さいました。元の『私説三国志』をお読みになったのですねと申し上げたところ、「読んだばかりで飢えてるんです」というすてきなお答え。この方は三年ほどのちにまたいらして、その後出た分を買って下さいました。以前に買っていただきましたねと申し上げたところ、よく覚えていますねと驚かれました。(きれいな方だから覚えていますとは言いそびれました。)

 絶版になっていた『私説三国志 天の華 地の風』が文庫化され、新たな読者も生まれていることでしょう。ぜひ、「三國志遺文 孔明華物語」を併せてお読み下さい。
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by kaoruSZ | 2007-09-03 20:31 | ◆売り物「孔明華物語」他 | Comments(0)

2004年12月新作

b0028100_10291997.jpg孔明華物語シリーズ
⑥のちのおもひに——三國志遺文小説集2 
B5判2段組50頁 300円 
【内容】「雪柳」「鬼蓮 上」の二篇

過去の出版物については「カテゴリ」欄の「売り物『孔明華物語』」をクリックするとまとめてご覧になれます。

通信販売いたします。dokushokai@hotmail.comへお問合せ下さい。

【追記】「雪柳」「鬼蓮 上」については、チラシに載せた内容紹介がうまく書けなかったのでここには再録しません。組み合せだけでも御紹介しましょう。

「雪柳」(起こる順)朱蘭×梨郎、梨郎×朱蘭(??!)、朱蘭×孔明、魏延×孔明、朱蘭×梨郎。(過去には)周瑜×孔明、魏延×朱蘭、姜維×孔明。  

「鬼蓮 上」 出てくるのは(けものを覗けば)、魏延と、鬼蓮が茂る沼に囲まれた館に住む、孔明そっくりの魔性の女だけです。組み合せは……説明できません! 魏延がたいへんなことになっているところで「上」は終ります。

 下がオニバスの花。これは葛飾の水元公園で撮ったものだそうで、水元公園なら、子供の頃、親に連れられて行き、アメリカザリガニやオタマジャクシをたくさん取ったことがあります。ザリガニは容器の中でとも食い、おたまは、元気に育って、庭にあった小さな池がカエルだらけになりました。オニバスは見たことがないので、夏になったら行こうと思います(その頃には魏延をなんとかしてやれるでしょう)。

b0028100_10334011.jpg


●年末にはメールマガジン&ウェブマガジン【カルチャー・レヴュー】に「地上はまだ思い出ではない——浜野佐知監督『百合祭』」(「映画館の日々」第5回)を書きました。
「カテゴリ」欄の「寄稿先へのリンク」及びリンク欄 “Chat Noir Cafe”ロゴからも飛べます。
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by kaoruSZ | 2005-01-04 09:26 | ◆売り物「孔明華物語」他 | Comments(0)

コミケ当選!

来る12月30日(木)、コミックマーケット67に参加します。
孔明華物語新刊出す予定。
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by kaoruSZ | 2004-11-12 22:22 | ◆売り物「孔明華物語」他 | Comments(0)

2004年5月

ロワジール館 出版物

b0028100_5503058.jpg鈴木 薫  孔明華物語シリーズ ①〜⑤ 手作り本です。

  通信販売御希望の方は
  dokushokai@hotmail.comへお問合せ下さい。

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by kaoruSZ | 2004-09-22 03:24 | ◆売り物「孔明華物語」他 | Comments(0)